一、隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ)
法界坊(ほうかいぼう)
序 幕 深川宮本の場より 大喜利 隅田川の場まで
浄瑠璃「双面水照月」
作:奈河七五三助 演出・美術:串田和美
聖天町法界坊/勘三郎
永楽屋娘お組/扇 雀
勘十郎&女船頭おさく/勘太郎
野分姫/七之助
番頭正八/亀 蔵
澤田弥九郎/源左衛門
若党山上文治/市 蔵
永楽屋権左衛門弥十郎
道具屋甚三郎/橋之助
永楽屋手代要助 実は吉田松若/福 助
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*あらすじ*
堕落し切った願人坊主の法界坊(勘三郎)は、永楽屋権左衛門(弥十郎)の娘お組(扇雀)にひと目惚れしますが、お組は手代要助(福助)と恋仲で、もとより法界坊には目もくれません。要助は、実は御家再興を期す吉田家の嫡男松若で、野分姫(七之助)という許嫁のいる身。法界坊は、そんな要助を陥れようとしますが、吉田家の下僕で、道具屋に姿を変えている甚三郎(橋之助)に暴かれ失敗。その腹いせにお組を誘拐しようとしますが、これまた失敗。さらに今度は、野分姫をかどわかそうとしますが、拒否されると『お組との仲にはじゃまだから殺すよう要助に頼まれた』と偽って、野分姫を斬り殺します。しかしその法界坊も、甚三郎の手に掛かって、あっけなく絶命。と思いきや、現世に恨みを残す野分姫と合体霊となって姿を現し、要助実は松若とお組を苦しめる執念深さを見せます。 (歌舞伎座ホームページより)
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一幕、二幕はとにかく笑いました。言葉も現代の言葉があったり、私達でも聞き取れるものが多くて分かりやすかったです。また、歌舞伎でこんなことやるんだ!?と思うようなものがポンポンと飛び出して、とっても楽しかったです。三幕は浄瑠璃だったので、打って変わっておぉ!歌舞伎〜!といった感じでした。思い付いたまま感想を書く事にします。
■イヤホンガイドがお勧めだと
魔法メモさんの歌舞伎のページに書いてあったので借りてみたところ、本当に絶妙なタイミングで説明が聞けてとっても楽しめました。(生で喋ってないなんて未だに信じられない!)ついつい、イヤホンガイドに「へぇ〜〜そうなんだ〜」と相づちを打ってしまい、とっても恥ずかしかった。にぎやかな場面で助かりました…。
■今回一番心を奪われたのが
扇雀さん演じるお組でした。真剣に写真を買おうか悩んだくらい…。要助の気を惹こうとあちこちから顔を出し呼びかける姿や、お組に言い寄り、襲う番頭正八(亀蔵)のあまりに凄い姿に(ホントに凄くて妖怪みたいでした:笑。もうエクソシスト状態!)笑ってしまいそうになるのを着物の袖で口を隠しながら逃げていた姿がと〜〜ってもかわいかった!!扇雀さんのお顔を知らなかったので、筋書きで確認してみると…あらら!おじさまでした。奇麗というより、かわいいんです。法界坊も、要助も勘十郎も番頭もみ〜んな惚れちゃってもしょうがない、私も惚れた!気付くと手を目の前で組んで(お祈りを捧げる感じ?)うっとりしていた私…。去年フェスで見た矢沢永吉に続き二度目です(笑)
■女形さんの着物がとっても奇麗。たまたま私達の席のすぐ側を野文姫、要助、お組、主人が通ったので、間近で見れてとってもラッキーでした。おしろいの奇麗さにもビックリ。果てしなくウォータープルーフ?
■勘三郎さんがアドリブで俳優さんをいじったり、客席をいじったりしていて、とっても面白かった。法界坊のときは憎めないけど、悪党な雰囲気だったのに、三部で怨霊となり、お組そっくりに変身し本物のお組と踊る(踊るって言うのかな…?舞う?)場面では、法界坊とはまったく違う動きでビックリ。それに、扇雀さんに心奪われてたのに、ふと気付くと勘三郎を目で追ってしまう。そういうオーラがあるのかな?
■勘太郎さん演じる勘十郎はお組にベタ惚れな役だったんだけれど、視力の悪い私には何となくバカ殿のようにも見えました(苦笑)けれど、三幕で甚三郎 の姉、女船頭おさくも演じていて、これまたとっても奇麗でした。あのバカ殿みたいな三枚目だったのに…(笑)手の仕草がとってもしなやかでした。
■七之助 さん演じる野文姫がなにかとトロくて、すぐ自害しようとするのに、動作があまりにも遅過ぎるため全て阻止されるのがとってもかわいかった。三部では、法界坊と野分姫の霊が合体するんだけれど、それは勘三郎さんが演じていて、野分姫の霊が喋る時は黒子になった七之助さんが声を出していました。
■要助が亀蔵、法界坊、勘十郎に袋だたきに遭い、どんどん着物がぼろぼろに(苦笑)そこを甚三郎 に助けられ、甚三郎 の着物を借りてお組と花道を逃げる場面で、歩きながら帯をササッと結んだ福助さんの姿にドキドキでした。何でだろう?(笑)その場面では怖いくらい福助さんを凝視していたハズ…。
■今回は黒子さんが大活躍。裏方さんではなく、裏方の役をやってるといった感じで、おもしろかった。
まだまだい〜っぱいあるんだけれど、自分用の覚え書きとして書きました(苦笑)
色んなサイトを廻ってみたところ、今回の『法界坊』は歌舞伎の中でもちょっと違った趣向のものだったようだけれど、歌舞伎初体験&はコミカルなものが見たかった私にとってはとても見やすかったです。これぞ歌舞伎!というようなものも見てみたいと思ったし、他の演目もまた見てみたいな。行く前までは歌舞伎を分かっている人しか楽しめなさそうな空間かとちょっと構えていた部分があったけれど、もっと気軽に行けそうな気がします。奥が深そうだし、ハマりそうです…。
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[追記]
大切なものを忘れていました!終演後、ロビーに出ると演出家の串田さんがいらっしゃったので、周りの方に便乗してサインと握手をしていただきました。↑の画像がサインです。